huraicid’s blog

趣味100% 真面目な論述はないです

沈黙のパレードを観てきた

要約

沈黙のパレード良かった。前作、前々作を観てる人は全員観てくれ。

はじめに

実のところ映画の沈黙のパレードにはあまり期待していなかった。というのも原作の小説版『沈黙のパレード』は2年半前くらいに読んでいたけど個人的にはうーん、という出来だった。 その理由を以下に挙げてみる。

  • ぶっちゃけ科学要素なくね?
    • 湯川先生いる?
  • ある男の殺害方法が安直というか予想できるものだった
  • 展開が強引すぎない?
    • (描画不足なのか私の読解力不足かわからないけども)いや、そうはならんやろって展開が続いてた

ガリレオシリーズの長編は小説『真夏の方程式』→『容疑者Xの献身』と進んでそのあと映画をその逆順で観ていって、「これはすごいぞ!」となっていた。その後受験勉強をさぼってガリレオシリーズに夢中になっていった理系オタク高校生にとって湯川先生は誰よりも尊敬すべき「先生」だった。

大学に入って大学卒業・院入学を目前として体調を崩しているときに『沈黙のパレード』が刊行されていたことに気が付いて中古で購入して読んだ。けど感想は前述の通り。

そんなこんなで就職して去年の秋くらいに最新作が来たけど、あまり評判が良くないようで結局買わずにいた。

その後だっただろうか、ガリレオシリーズの映画が2022年秋公開と聞いて「うおおおおおお」ってなって「絶対観るぞ」って思った。何よりもまたガリレオ先生が観られることが嬉しかった。

でも公開となっても実は行くぞとは中々ならなかったんだ。『沈黙のパレード』かー、という感じで。でも急に「行くか」って思い立って今日観てきた。

ぶっちゃけ科学要素なくね?湯川先生いる?

いる。 というか湯川先生じゃないとできないことだった。もっと言えば草薙と内海との関係、よそ者として並木家とその周辺と繋がって見た光景、そして過去・現在の事件を唯一第三者目線で見られる観測者として、科学者目線で仮説を立てていくのは彼以外にできる人はいなかっただろう。

確かに物理要素は少なかった。せいぜい密閉された空気の元素を予想して科捜研と実験するくらいだった。

恥ずかしながら、科学って数式をいじくってモデルを立てて実験して実証することに囚われていたんだ。でもよく考えたら科学って別に文系理系関係なくって、仮説を立てて検証することであって、数式も実験も言ってしまえば手段でしかないんだということに気づいた。

小説版『沈黙のパレード』を読んでいた当時は数式や実験をしなければ科学じゃないと本気で思っていたんだ。観ているときに気づいて、何だか足枷が外れたかのように気分がすごく楽になった気がした。

というわけで科学要素は あります

#ある男の殺害方法が安直というか予想できるものだった

上項に書いたけどまあ安直だよね、という感想は変わらない。

容疑者Xの献身』は犯人や殺害方法が転々として全然飽きなかったけど、今作は結構早い段階で殺害方法と死因が確定してしまって、じゃあ誰がやったんだ?っていうところもまあまあ早く確定してしまって、表に出ていない真実を暴いていくって感じではあった。

展開が強引すぎない?

これはまだちょっとそう感じた箇所はあったけど小説版よりは全然良かったと思う。映像にしてみると間が自分で制御できなくなるから映画に合わせるしかないんだけど、それが良かった。

大筋は知っていたからどういう描かれ方をするんだろうって観てたから小説版初見の時よりは全然楽しめたけど、この映画で初見だった人には受け入れられたのかなー、とはちょっと思う。

蓮沼寛一という男は小説版ではチャラい奴という先入観で読んでて不快だったけど、映画で見た時に安田(顕)さんっぽい感じの人で「おおっ」ってなったけどそれが結果的に映画に没入できる要素になって良かった。結果的に物語の進むスピードを下げていってる感じがして。映像作品に出てくるチャラ男は滅ぶべし

救いはあったのだろうか

ガリレオの映画の前2作は正直救いがない終わり方だったと思う。特に1作目の『容疑者Xの献身は』関わった全員が不幸になってしまったっていう終わり方だったし、2作目の『真夏の方程式』も湯川先生が一方的に罪を背負っていう終わり方だったように感じた。

今作は(並木佐織が死んでしまった点を除けば)全員が前を向けるハッピーエンドだったかなと思う。何人かは罪を問われるような終わりではあったけど、人間関係は壊れていないし、商店街メンバーと直接関わりがなかった増村栄治も菊野を離れることになったとはいえプラスの気持ちでリスタートできていたんじゃないかと思う。

強いて言えば高垣君が救われてないかもな……。どこか描画を見逃していたのかな。

最後のシーンは痺れたな。一番救われたのは湯川先生だったのかな。

終わりに

映画を観終わって、本屋に行って、自宅でホルモンを焼いてビールを飲んで気持ちよくなってる勢いで書いてしまった。普段はこういうことはしないんだけどね。お気持ち表明ってやつかねぇ。

ガリレオの映画は好きだったけど何だか救いがなくて何度も見たいという感じでは無いし、正直今作も何回も観に行くという映画ではないかなとは思う。でもこんなに映画で晴れ晴れした気分になったのは久しぶりかな。いや、初めてかもしれないな。

帰りに思わず沈黙のパレードの文庫版を買ってしまった。パラパラ見た感じラストの展開が違っていたから見比べてみようかな。そして手を出してない最新作『透明な螺旋』も読まなきゃ。